2008/01/03

[実験屋日記] 今年のストラテジィー

今年は、去年のように大上段に振りかぶって長大な展望を繰り広げるようなことはしない。そこら辺については、去年書いたことを読み返しても、そう大きな変更はない。去年の目標を引用しておく:

【長期目標】 思った通りに実験をできる環境にありたい。脳についての物質科学的な世界観を変えうるような研究をしたい。
【中期目標】 独立して自分の研究室を旗揚げすること。
【短期目標】 学位を取得することすること。Impact factorを上げること。

【短期目標】に関して、学位はとりあえず取った。IFも躍進ではなかったが、着実にあげることができた。今年の【短期目標】としては、IFに加え、メディカルスクールにもどること、そして全てが軌道に乗ってきたドイツの研究からいかに多くのもの(経験・知見というよりは、論文数)を引き出すか、ということが中心となる。



【総論:情勢分析】
医師ではなく、研究の道に生きる決心はとりあえずついた。あと5年程度は少なくとも、がんばってみよう。(それでものにならなかったら、そのときになって から研修をし、医師として禄を食めばよろしい。あるいは製薬に就職、という手もある。翻訳だって、不安定ではあるが、フリーでも結構いい暮らしはでき る。)よって、メディカルスクール卒業後は臨床研修をすっ飛ばして、またポスドクにつくことを前提として行動する。

ドイツではとても恵まれた立場におかれている。メディカルスクール卒業後、これを引き延ばすことを目標とするか、それとも思い切って断ち切りもっと大胆な賭に出るか、1年後あたりには決断して、賭に出る場合は下準備を始めねばならない。

以下のスキルを研究にいかに活かしてゆくか。いろいろ少しずつ、器用にできてしまうような性格が災いしないように、戦略を練らねばならない。
  • 言語力... まあ、アメリカ人としては当たり前だが、ドイツにいたって、たいていの人よりはよっぽど英語ができることが判明した
  • 医学知識... メディカルスクールに戻ったら、特に以下の疾患に触れることをめざし、また、研究のネタを探すことを主眼とする
    • てんかん
    • 自閉症
    • 過敏性腸疾患
    • 運動障害(小脳)
    • 麻酔
  • 実験手技... これにあまり引きずられると、高等テクニシャンになってしまう
  • プログラミング... これ、趣味をあまり引きずりすぎて、時間ばかり無駄になっているのでは? でも、メディカルスクールに在籍しながら、暇なローテーション中はこれを用いて論文を作ることも考えなくもない。難しいところだ。

【総論:学問的進路(備忘?)】
  • やっぱり、末梢への逃げ道は残しておくべきだろう。大脳は難しすぎるかもしれない。てんかん研究からはいって迷走神経刺激の研究を行い、そこから腸管の方に入っていくという筋書きも、面白いかもしれない。てんかんは重要疾患で、脳研究ではもっとも法螺を吹かずに金が取れる分野だとおもう。そこを軸足に、腸管の方に戻れると、仮に日本に帰ることができた場合に若干都合がよいかもしれない。
  • あるいは、睡眠・麻酔などをやっていれば、呼吸器・循環器関連の脳幹への活路を確保できる可能性もある。
  • 植物電気生理学に転向、という夢想もあって、事実本も2冊読んだが、あまりにもぶっ飛びすぎ。医者が植物? Sabaticalをとれるくらいの立場になったら、趣味実験として行うもよし。



【各論:メディカルスクール】
  • 絶対に戻る。今年戻りどきを逸したら、一生、MDは獲得せずに終わるだろう。
  • で、研究の道で生きるためには、残るメディカルスクールの2年の間も、ドイツでの研究を(細々とでも)続けられるよう、可能性を探る必要がある。定職にありつくまでは、論文獲得競争に勝たねばならない。履歴の上で、ブランクはあまりよろしくない。2月あたりにはワシントンにかえって、学長などとあって、カリキュラムをちょっと柔軟にしてもらうよう、直談判をしよう。
  • メディカルスクールに戻る夏までは、1日15分程度の目処で、少しずつ学科の復習。USMLEのStep 2は合格しないと卒業できないので、この参考書を少しずつ読み進めることを日課とする。

【各論:ドイツでの研究について】
仮に「あと半年でドイツでの実験は終了、二度と戻らない」ことになっても、一応最低限の業績が出るように、計画。とくに、面倒を見ている院生が基本的には自分で全てできるように、あと、必要なら追加実験もしてくれることができるように状況を整えられればbest。彼が日頃から機械を回していてくれれば、忙しい病院実習の合間を縫って、ぽっと23週間もどって実験、なんていうのも可能である。
  • 優先順位をはっきりさせ、とにかく働く。働いただけ、紙になる、そんな状況はと整っているのだ。
  • 技官を容赦なく使う。Herr DoktorはHerr Doktorにしかできないことをする。
  • 目標は、紙をたくさん産生すること。それだけ。あまり新たな学問的な大局観を追求してはいけない。少なくともこれから半年のかき入れ時・踏ん張りどころは。

【各論:生活一般について】
  • とりあえず、これから3年程度はドイツとつながりを保つ、という前提で行動。よって、このたびのドイツ滞在は後半戦にさしかかったが、言語・文化の学習においては、引き続き中長期的努力を続ける。
  • とにかく、時間が足りない。短眠と規則正しい生活を心がける。これは、メディカルスクールの臨床実習に移行するに当たっても、超重要事項である。
  • あまり関係のない読書は慎むべきであろう。ブログも慎むべきであろう。しかし、どちらも、無理であろう。とするとやっぱり、生活を規則正しくして無駄な時間を省くしかなかろう。

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