[実験屋日記] 大ボスのPorsche
大ボスの舎医費所長(仮)は、ポンコツの古いポルシェを乗り回すので有名である。よその研究所の人でも、この有名なポルシェを知っていたりする。まあ、いくら大教授で所長でも、研究者の給料でポルシェというのはちょっと印象に残るのだ。
ちょっとしたことから、この有名なポルシェに同乗する運びになった。
コップを持ってコーヒールームにいったら、ちょうど舎医費とばったり。「大学のメインキャンパス 1での、午後のセミナーにいかないか、人がなかなか集まらないし」。「忙しいです。無理です」などと本音は言えない。「それでは定刻の20分くらい前に出発するから。」
まあ、時々、舎医費と話すのも楽しい。やっぱりこの方は、偉大な学者である。で、最近の研究の進展状況や、R研の先生からもらった大アイディアの話などもできたし、何より、この有名なポルシェの由来について教えてもらった。
その昔、知り合いの伝でPuerto Ricoのメディカルスクールで、夏の2ヶ月間だけ非常勤講師をしていた時期があったそうで、そこは要するにアメリカ本土のメディカルスクールに入れなかった医者のボンボンなどが主要な商売相手なため、非常に景気がよかったとのこと。ふた夏分の稼ぎでポルシェを買ったそうだ。それいらい28年間、大きな修理はひとつもなく、今まで走り続けているという。計器類の豆電球すら、ほとんどオリジナルだそうだ。
ダッシュボードのプラスチック類はひび割れていて、外装も廃車同然だが、たしかに、加速はよいし車としてはまだまだという感じだ。
で、僕は車のことなどあまり知らないので、Porscheがドイツの車だということを知らなかった。つづりからであろう、なんとなくフランスと思っていたが、幸い、そのことは舎医費にばれずに済んだ。「まあ、日本車もたいしたものだけれどね」と。舎医費がいうには、ポルシェは世界中でもっとも収益率の高い自動車会社だ、とのこと。VWも傘下らしい。
そして、ちょっと眉唾ものだが、今まで製造されたポルシェの2/3だかは、まだ健在で運転できる状態にある、という統計があるそうだ。「ただ問題なのはね、残りの1/3については、車も運転者も、もはやこの世のものではない、ということなんだけれど。ワッハッハ。」
1. 研究所は大学の医学部キャンパスに隣接しているが、大学のメインキャンパスは街の反対側、車で15分くらいのところにある。大ボスの舎医費も、小ボスの腐乱苦も、この大学の教授兼任だ。
0 件のコメント:
コメントを投稿