[旅日記] 原点への回帰(6) Boston美術館
2泊3日の最終日は、Boston美術館(Museum of Fine Arts)で半日を過ごした。このBoston美術館こそ、少年時代はよく家族でいったものだが、それ以来20年近く訪れていない。お国自慢になってしまうが、お許しを。
やっぱりBostonに暮らすということは、限りなく贅沢なことだと、痛感する。だって、洋の東西を問わず、最上級の美術を、20ドルそこそこでみられてしまうのですヨ。東京だったらそれ、映画館に入って飲み物でも買おうものならすぐに吹っ飛んでしまう金だ。Bostonに生きるガキンチョ達は、各時代・各文化文明の空気を吸いながら、社会科や歴史を学ぶことができるのだ。
しかも、New YorkやWashingtonや東京みたいに、美術館が多すぎてoverwhelmされることもない。Bostonの美術館といえば、大きいのはBoston美術館だけ。そこにいけば、ヘレニズムから浮世絵まで、エジプトからモダンアートまで、比較的安定した常設展があり、多彩な特別展がある。この文化的な安定感こそ、BostonをBostonたらしめている最大の特色であろう。ごりごりの保守ではないが、時の流れは確実に、現代のそれよりも、数テンポは悠長なのだ。
たとえば、20年近くして訪れても、全く変化がないわけではないが、同じ空気がそこには流れている。自分は世界中を駆けめぐっていろいろ表面的には変わっていても、そこで、自分の基礎をなす歩調を確認できる。展示室によっては20年近く、まったく配置をかえていないのではないかというものもあるが、そこまでいかなくとも、展示に見られる学芸員達の哲学は、20年1日のごとく、確実にある上質アメリカ文化の流儀を守っている。
数年後に完成の拡張工事の途中で、部屋によってはごたごたとたくさん詰め込んだ感じのもあったが、それでもさすがに世界中から美術品を[略奪]してきた懐の深さがあり、どの展示も手狭でも、並べ方のセンスが悪いと感じることはなかった。
(つづく)
駐車場から入り口を入ってすぐのこの回廊にはじまるアジア美術ウイング。「ジャパニーズ」の少年にとっては、ここが、もっとも日本文化に接近する空間であった。
ジャパニーズ・ガーデン
もちろん、西洋絵画も各種、たくさんある。
入り口近くにずっと飾ってあったワシントン将軍の有名な肖像。現在修復中で、修復の様子がのぞけるようになっている。
地元の名士で銀職人のPaul Revereの肖像と、その銀器。
鑑賞の授業か遠足か何かで、取り上げられたような気がする。
世界中から略奪してきた秘宝の数々
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