2008/06/06

[ドイツより] Gemeinsam stark!

ちょっと考え事をしながら町を散歩していたら、やたらと警察の車が多い。旧市庁舎前の「古市場(Altermarkt)」になにやら人だかりができている。遠くから、赤いベレー帽がたくさん行進しているのが見える。なんだか仰々しい雰囲気だったが、まあ警察もたくさんいることだし、と恐る恐る近づいてみると、MPの腕章をつけた迷彩服が人だかりの周りで警備している。

どうやら、軍警察のMagdeburg支隊が、街の要人たちの視察を受けて行進しているようだ。みんな立ち止まって、気をつけ、をしたと思ったら、大声で一斉に「GEMEINSAM! STARK!」。団結は力、とかそういうことらしいが、それにしても、だ。きっと、兵役の子供たちもいるのだろう(ドイツの男性は18歳の年に、9ヶ月の兵役または福祉労働の義務がある)。高校出たてくらいのあどけなさの残るその少年たちの威勢のいいかけ声が、初夏の深い夕空を突き抜ける。「ヒッ寅ー・ユーゲント」とか「国家社会主義」とか、そんな言葉が頭を駆けめぐって、一瞬、背筋が凍る思いだった。ドイツ人にとっては、そういう連想はないのかもしれないが、ガイジンにとってはこんな状況下、ドイツ語で雄叫びをあげられた日には、そう考えても不思議はない。

あっけにとられて、行進が終わって広場をほとんど出て行くまで、写真を忘れていた。(拡大すると、左端に野戦のように仕立てた主賓席、右の広場出口に制服の憲兵たちがみえる)





最近、2年後にメディカル・スクールを卒業したら、どこかの国で独立して研究室をもてるようになるまでの(願わくは)3-5年程度、この地にまた戻ってきてもいいかな、と思うことが多い。親は反対するだろうけれども、彼らとて日本を飛び出してアメリカに15年ほど働いた。坊ちゃんではないが、親譲りの無鉄砲であるからして、最終的には文句も言えない。そして仕事場のヒト、カネ、設備など、あまりに環境がよく働いていて効率もよいし、気持ちもよいのだ。

研究室はあまりに居心地がよいのだが、↑のような時に時折「ここは外国なのだ」ということを深く再確認する、そんな初めての外国暮らし。もしも2年後に戻ってきたら、教授資格試験(ハビリタチオン)の準備を進め、状況によっては骨を埋めるくらいの覚悟は必要だろう。その心の準備は果たして、あるのだろうか。

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