2008/02/06

[実験屋日記] 実験屋天国

まずいくらい、研究環境が整ってきた。



部門1,2の丁寧な仕事をする技官の香取~ぬG.(仮)ともう一人の蚊取り~ぬO.(仮)。蚊取り~ぬO.は、小ボスの腐乱苦O.(仮)の奥さんでもある。

で、先日実験をお願いしたときは「明日はちょっと忙しいから無理かも~」とか言っていた蚊取り~ぬO.が、今日、香取~ぬG.と一緒に僕の実験をやってくれている。どう考えても腐乱苦あたりから、一言はいったのだろう。引く手あまたの部門最優秀技官の二人が、二人して、下っ端ポスドクの実験をやっているなんて、どう考えたってオカシイ。

忙しい技官達に悪いから、と腐乱苦に「HiWi 1 を2人雇用したい」と交渉して、それも許可が下りたのだが、それをどこからか聞きつけた香取~ぬG.は、「この実験、HiWiなんかじゃなくて、私やりたいです」と言ってくれた。香取~ぬG.は修士もとっていて知識豊富・頭脳明晰、しかも残業も苦としない、仕事も丁寧、お願いしておいたことは絶対忘れない、もう、技官の鏡というか、あり得ないような天使である。先日実験をお願いしたときに、きちんと実験の目的と目標を説明したのだが、そうすると彼女は必ず、それに沿って適切な判断で仕事をこなしてくれるのだ。その彼女が、僕の実験に興味を持ってくれている...。

こんな研究環境は、一生で二度とないかもしれない。これでものにできないようだったら、断髪して、きっぱり足を洗って、医者にでもなった方が世のためというもの。



腐乱苦にしてもそうだ。何が買いたいと言っても、腐乱苦は決まって「うん、じゃあ、お金あるか美嗚呼手(仮、秘書さん)に訊いてね」としかいわない。そして当然、お金はある。

大ボスの舎医費(仮)だって、廊下で会うといつもにこにこしている。

腐乱苦といい、舎医費といい、二人の香取~ぬといい、みんな期待のGPSプロジェクト。にこれでしくじったら、やっぱり、ハラキリものだらう。腐乱苦の研究費にとって重要な「甘い内角球プロジェクト」も同時に頓挫した日には、後ろ指ではなく、ほかのもので刺されかねない(冗談だが)。



それだけじゃない。

面倒を見ている院生の恥夢(仮)。もう、面倒を見ていると言うよりは、2人で相談して計画を立てたら、あとは勝手にやっていて、時々聞きに来るくらいの感じだ。教えてもいないディテールまで、いつの間に技を盗んでそつなくこなしている。はじめ面倒を見ていた勉蔵は、人は良かったが、そこらへん鈍くさかった。で、これほど飲み込みがいいと、教えていて実に気分がよい。

恥夢は修士を、同じフロアで解剖の研究をしてとったばかりだったが、ちょうど僕の用いている生理学的な手法とその解剖の新手法の相性がいいというので、共同研究を始めた。そのときは後釜探しも兼ねて共同研究相手を探していたのだが、いろいろな院生の実験をのぞくに、彼の実験が断トツで良くできていたというのもある。僕がアメリカに帰った後は、彼が跡を継いで機械の面倒を見ることになっている。

で、彼の解剖学的なスキルも、件のGPSプロジェクトには大いに役立っているし、僕自身、門外漢だが、解剖には前から興味津々である。もうちょっと余裕があったら、彼が本業でやっている先進的な解剖の実験を教えてもらうところなのだが。

いつも軽躁状態の僕と対照的に、彼はひどく落ち着いていてできた人なのだが、その彼に言わせると、「確かにpromisingなプロジェクトだから、別にこれで失敗しても、だれも責めたりはしないでしょう」だって。いやね、りくつはそのとおりなのだが、こんなに法螺貝を吹いておいてじゃあね。「アメリカ人のbullshitter」ということで許してもらえるかなあ...

まあそのときはそのとき。考えても仕方ないものは考えない。あとは、15万ほどの小道具の到着を待って、勝負分かれ目の決戦となる...





1. HiWi... 正確な略は分からないが、ヘルプする科学者、ということ。修士学生のバイト。でもうまくいった場合はそのまま居残って、修士・博士研究を行う場合もある。

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