[実験屋日記] 腸内フローラ
日本、アメリカ、ドイツ。少々汚い話だが、住む国が変わると腸内フローラのバランスも変わる(i.e.臭いが変わる)。父は実験屋としての出発点が大腸菌だったので、子供のころはよく、「今日はよくこなれた臭いだ」とかなんとかいわれたものだ。そんなのわかる訳ないと思うのだが、毎日大腸菌と向き合っていると、繁殖の様子が臭いでわかる、と言い張ってやまない。食事中に下の話をするのがマナー違反だ、という社会ルールも、給食か何かの場で知ったときにはショッキングだったような記憶が、おぼろげながらある。
いずれにせよ、今回ドイツに来てからというもの、どうもよく臭う菌種が優勢らしい。きっと何かの食べもののせいなのだが、何が決定的なのかはわからない。一生懸命、ヨーグルトを食べて整腸を心がけているのだが、収まらない。週に2日くらいの噴火日には、実に活発にガスを発している。
幸い、同じ研究部門に大規模な組織学グループがあって、僕のオフィスの廊下向かいの部屋で、何の染色だか知らないが、週に2,3回は硫化水素のようなにおいのする薬品で脳切片を染めている。その日は我慢したり、便所まで行って放屁せずとも、オフィスの前の廊下をうろうろするだけで済むので、実に助かる。
ちなみにflatulenceの鑑別診断には大腸癌なども入っているが、そんな余計なことを心配するのは、「medical student syndrome 医学生症候群」という。あと、唾液分泌過剰も、鑑別診断のひとつだった気がするが、それは間違いない。
追、今日、込み入った手術をしているところに、技官が入ってきて質問。出してあったオーダーを書き間違えたのは僕だが、それにしても困ったものだ。というのも、昨日ニンニクを食べたこともあって、技官が入ってきたのは超弩級の爆弾が炸裂した直後であった。手術中は当然、放屁など我慢しない。そんなことに使う余計な神経はないのだ。
技官は顔色ひとつ変えなかったが、きっと彼女の夫でもあるボスの腐乱苦(仮)には、筒抜けだと思う。彼女はおしゃべりだから、それだけで済むとは、考えにくい。あな、恥ずかし。
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