2007/09/29

[実験屋日記] ...the answer is blowing in the wind

おお忙しい忙しい。

今一緒にやっている修士の院生の勉蔵(仮)が、来週には以前から決まってた修論の研究室(フランクフルト)に移ってしまうので、それまでに論文一本分のデータを集めさせるよう、おだてながらがんばっていたが、大体予定通りに収まりそうである。ところが、ものを教えながら他人をこき使おうと思うと、こき使う側のほうも意外と労力がかかるもので、こっちもちょっと大変。ほかの仕事もあるので、ざっと一日に二人分は、働いている感じ。とにかく、一年でまたメディカルスクールに戻らなければならない、というはっきりとした時限つきなので、序盤戦はやはり相当飛ばしておかないとだめだ。

勉蔵については、だいぶいろいろ教えたし、データもきれいなのが出てきているので、とてもきれいなしっかりとした論文になりそうである。まあ、このプロジェクトについては、はじめから結果は分かっていはいたので、意外性はないが、超重要であることには変わりない。

勉蔵は実に素直に言うことをよく聞くので、数ヶ月ではあったが、ちゃんとした生理学の基礎哲学は叩き込めたと思う。腐乱苦組の下部組織であるガーキー組に加盟するまでは、今までほとんどほったらかしで、きちんと教わってはいなかったので、ちょっとかわいそうだ。でも、回りの院生をみていると、自力で苦悶している人が実に多くて、そんなでは徒弟奉公である実験屋になれるわけがない。ドイツはどこでもそんななのだろうか。

勉蔵は今度のフランクフルトではネコをやるので、実験と実験の間が開くから、また修行と手伝いに戻ってきてくれるという。遊びに来るのはいいけれど、今度は別の親分なんだから、腐乱苦組とは縁を切ったつもりで、といっておいた。

共同研究者のミヒャも(彼は業績ももう結構あって、びっくりしてしまうが、実を言うとまだ彼も修論生なのだ)、来週いっぱいで天下のチュービンゲンに移ってしまう。彼のほうは実家もそう遠くはないし、ちょくちょく実験しに戻ってくる予定らしいので、まあ別にいいのだが、その彼の実験も、来週、佳境である。



再来週以降は誰もいなくなって、ちょっと楽になる...か?

勉蔵のデータをもとにした書き物と、11月頭の学会発表もでっち上げないとならない。あと、ワシントンのデータも、難しいので手付かずになっているが、やっぱり書かなければ。博論のボスは、これについてはもうあきらめているようだが、ここは、意地で底力を見せ付けてやろうじゃない。地味だが、とても意義深い論文になるはずなのだが...。うう、ドイツの財団研究員になるための申請書を来週書き上げてボスの腐乱苦(仮)に渡す、ともいってある。これも意地だ(といっても、もう8割方書き上げたのだが)。



こう考えていると、勉蔵にも言われたのだが、ドイツの長い冬、運動しなきゃ参っちゃいそうだ。彼は毎日のように、ジムに通っている。僕は泳ぐのがすきなのだが、あいにく、研究所にも研究所の隣の大学にも、プールはないらしい。走るしかないか。

あと、春先に仕事の目途が立ったら、以下の国を旅することが、毎日の励み。木曜の夕方に出て、月曜の夕方に戻る感じ。給料もよいので、2,3週間に一回の割で、旅をするぞ。第一、契約書にも、年間の有給休暇26日(以内)、と書いてある。
  • アイルランド
  • パリ
  • オーストリア(スキー)
  • ブダペスト
  • スペイン・ポルトガル
  • スロベニア
  • ベニス
  • 北欧
  • シチリア


今の勢いで行けば、そのころには論文が2本投稿されていて、もう2本、進行中であるはずだ。そこまで仕事が進んでいたら、ボスの腐乱苦も、文句はない。第一現在、勉蔵の代わりの院生を募集中で、しかも、グループ内でも、25-50%は仕事をしてくれそうな奴のみたてもたっているので、春先には遠隔操作で誰かが実験をしていてくれる予定。ルーブルかシャンゼリゼのカフェかなんかから、「もしもし、実験うまくいった?」とかのんきにやりたいものだ。うまくいけば、メディカルスクールに戻ってからも、その院生に僕の実験を続けてもらえる、という可能性も、想定しないわけではない。



まあ、どの程度、思ったようにいくかどうか。別に失敗しても、指を詰めなければならないような話はないが、実験屋人生は終焉に向かってしまうかもしれない。

今の環境についても、今までの手ごたえについても、申し分ない。これでものにできなかったら、本物ではない。だが、そこら辺の答えは、風のみぞ知る...

1 件のコメント:

匿名 さんのコメント...

まぁ、頑張ることと、うまくいくことは両立しえない場合もある。

でも、頑張って!
私も頑張ってます。