[実験屋日記] (NIHグラント 1件)≒(イラク戦争 2分)
ボスがNIHのグラント審査会から帰ってきた。3年(年3回)の年期が明けて、今回が最後らしい。ボスのセクションのfunding lineは今や7%をきったらしく、議題のグラント(>30件)のうち2~3件が受理されれば良い方らしい。
毎回、提出するレビューの英語を校閲させられたが、グラントの受け容れ状況が厳しくなるにつれ、なんとかグラントを序列化するためのあら探しで四苦八苦する様子が手に取るようにわかった。
去年あたりまでは、「今回のfunding lineは11%」「今回は9%」などとといちいち大騒ぎしては鬱々としていたボスだが、もはや達観したらしい。彼自身の今度の更新・そして新規のグラントのどちらかがあたらなければ、sabatical(一年の有給休暇)をとってどこかで居候するという。あるいは彼の場合は、ナマコ(aplysia)の研究に戻るという手もある。あれなら一体$20以下だし、毎日冷蔵庫にしまってあげれば一週間くらい使いつづけられるという。
たとえ民主党の大統領になったってイラクはすぐには引けないし、イラク負傷兵・精神負傷兵は大変な数に及んでいるというからその長期医療コストは馬鹿にならない。これから米国研究の暗黒時代は数十年は続きそうだとみた。ドイツあたりに亡命するのも賢明なのかも。
2 件のコメント:
FASEB(Federation of American Societies for Experimental Biology)は今年の報告で、実験経費のインフレという社会現象を確かに報告しています。しかし、NIH の予算がイラク戦費のために減少しているということはないでしょう。(そういう人もいますが。)だいたい財布が別の所にもともとあるわけですから。
NIH のグラントの予算は毎年増えているのですが、実験資材や要員の給料の増加ほど増えていないのです。生命倫理団体の圧力によって実験動物が入手しにくかったり、実験補助員の時給が上がっていることなどは国際的な問題で、ドイツも同じかもしれませんよ。
もう一つの問題は、有力企業で贅沢な実験をするか、貧乏な大学でグラントにすがって自由に実験するかがありますね。学問は人生です。
MWW
こんにちは。
企業研究職の友人らは、6ヶ月もプロジェクトが続けさせてもらえば長い方だ、といいます。何ヶ月かだけ贅沢に実験が出来ても、なかなか学問にはならないでしょう。
「applied scienceはpure scienceのapplicationに過ぎない」にも同調します。
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