2007/05/27

[映画] 何が為に鐘は鳴る?戦争映画二題

●●●●● 硫黄島からの手紙
●●●●● Pan's Labrynth

この二題、映画館でみようと思ったりもしたが、時間がなかったので致し方ない。たまたま欧行の機内で上映していたので、鑑賞。

硫黄島からの手紙
敵も実を言うと、意外と普通の人間なんだ。このことは、とかく忘れがちである。日本は今や同盟国、そして時が経るにつれ戦争の傷は癒える--だからこういう親日的ともとれる映画を作ることが社会的に許される。しかし、それだけではない。この映画を見たアメリカ人の何人が、「war against terrorism」との暗喩に気づいたであろうか。この映画、実のところは、気宇開豁な国際派ヒューマニズムへの賛歌なのだ。

現代アメリカの一番怖いところは、相手の立場に立つだけの人間的幅が、なかなか持ち得ないところにある。たしかに、テロリストの手法は卑怯で、忌むべきもの。だが、神風特攻隊などに関しても、同じような形容詞が充てられてきたことを忘れてはならない。さらにいうと、広島・長崎にも、あるいは、Guantanamo bay、Abu Ghraibにも。最終的にはみんな、そうしないと生き残れない気がして、そうしないと愛するものを守れない気がして、そして戦争という超興奮状態に浮かれて、おそろしいことに踏み出すのだ。

Pan's Labrynth
硫黄島からの手紙では、幼さも残る一兵卒である西郷(二宮和也)の観点を中心に描かれている。こちらの映画はさらにさかのぼり、少女の目を通して、スペイン内戦を描いている。メルヘンも混じった少女の世界と、フランコ政権の軍人の残酷さが妙な具合に交錯し、残酷さに輪がかかる。もはや、ヘミングウェーの描くような、葉巻たばこをくわえたオッサン達の戦争では、ない。

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