[新聞] 米国の健康保険事情
Healthy? Insurers don't buy it
Minor ailments can thwart applicants for individual policies.
By Lisa Girion
December 31, 2006, LA Times
米国では健康保険は民間保険が中心で、退役軍人と高齢者・貧困者だけは政府による保険制度がある。建前上は保険を購入できない人はいない。冒頭の新聞のexposeは、この建前を揺るがすものである。
(現状は、国民の1/6に近い数が、全くの無保険状態である。残りの5/6とて、皆が皆、大病になっても安心なような十分な保険を購入できているわけでは、決してない)。
景気後退と大企業の経費削減で、徐々に中産階級の保険すら、危なくなってきた。退職後の保険を企業の退職基金に頼っている場合は、退職後も、経費削減の煽りを食う。「薬を買うか食事を買うか」、という決断を迫られている中産階級の話が徐々にテレビや新聞でも報道されるようになってきている。
今年こそは、この問題が真剣に取り上げられるのではないか、と期待が膨らんでいる。民主党が議会選挙を制し、強いポピュリスト路線を取りそうだということもある。今年の米国政治は2008年大統領選の前哨戦に尽きるが、その中でも争点になりそうだ。2004年の民主党副大統領候補であったJohn Edwardsが先週、出馬表明したが、彼はすでに国民皆保険を公約に挙げている。民主党のほかの有力候補をみても、ファーストレディーの頃からこの問題に取り組んできたHillaryからは当然そういった路線が期待されるし、若手期待の星であるBarak Obamaも大分ポピュリストの気があるようだ。
医療はlaissez-faire資本主義とはなじまないのではないか。「保険が商品だと、予防医療を行うincentiveがない」だとか、いろいろとスタンダードな議論はあるが、ただ単に常識的に考えただけでも、金儲けをしようと思ったら、貧乏人は病気をしても放っておくのが一番安上がりに決まっている。冒頭の新聞記事のように、保険会社にとっては、健康な人だけに保険を売り、少しでも病気がある場合は売らない、というのは当然の商売戦略だ。
ただ、野垂れ死にの心配があって、はたして文明社会が成り立つのか?
リンク
A Healthy New Year (by Paul Krugman, NY Times, restricted)
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