2006/12/18

[新聞] ナーランダ大学復興計画

Really Old School
By Jeffrey E. Garten
December 9, 2006, New York Times (restricted access)
December 10, 2006, International Herald Tribune

先日新聞で、ナーランダ大学復興計画に関する論説を読んだ。アジア地域の前進を阻むものとして世界的な高等教育機関の少なさを挙げ、5世紀の凡アジア的国際大学であったナーランダ大学(仏教寺院?)の復興によってこれを是正せよという。現在多国間で計画が進行中だそうだが、その計画は考えが小さすぎる、世界一の学問中心を目指せ、という。そうした国際的な凡アジア的研究・教育インフラストラクチュアが、EU然とした平和的な凡アジア的共存共栄の礎となるだろう、と。

著者はYale大学経営学部の元学部長で、現在は国際貿易・金融の教授だそうだ。少し穿った見方をすると、アメリカの立場からは、「アメリカは中東の混乱に油を注いでしまったこともあり、そっちで当面二進も三進もいかないことになるだろうから、アジアの問題はアジア同士でうまく収めてくれ」、という立場にもつながるのだろうか。

しかし壮大な話である。おそらく日本的な思考にはない壮大さだろう。戦中に大東亜を叫んだところで、それは無理矢理東アジアを島国根性に封じこめようという考えであった。逆に島から出て世界という場で「美しい日本」を発露しようという話ではない。

このナーランダ大学計画の種火は日本的思考では生じ得ないものかもしれない。しかし日本はまだ、経済的にも学問的にも、アジアの一つの主軸をなしている。文明開化の時代のように外来の壮大な思考を押しつけられ、それにうまく乗ってはばたく時が、到来しているのかもしれない。

(蛇足、これからやおら研究所とかを計画し始めたら、僕のキャリアのちょうどいい時期に大規模な学者職の公募がはじまるであろう……)



参考リンク
Nalanda as an innovation hub

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