[ドイツより] Schwartzarbeit
黒い労働、Schwartzarbeit。ドイツでは社会保険などの関係で、正式に雇用されている場合は副業をとってはいけない(?)ことになっているらしく、副業をこう呼ぶらしい。ところで、ドイツの労働法規とは全く関係ない理由で、3年間続けてきた翻訳の仕事を断ってしまった。今朝2時に翻訳を納品する際に、思い立ってのことだ。夜中過ぎまで翻訳をしていて、それから買ってあった米国国試(USMLE)の参考書を読んでいて、急に思い立った。この仕事は始めたときから、「本業に支障を来し始めたらやめる」と決めていたし、考えれば考えるほど後ろ髪を引かれるのは目に見えているので、即決した。
思い返せばちょうど、メディカルスクール前期の専業学生生活を終えてすぐにもらい始めた、思い出の仕事だ。だいぶ、勉強にもなったし、博士課程在学中は、おかげでとてもよい暮らしをすることができた。本も、パソコンも、ほしいものは何でも買えたし、思い立ったときに気軽に日本に帰ったりできたのもそのおかげだ。貯金もできた。
しかし今年はポスドクで月給も良いし、副業がなくとも自由に暮らせる。来年からメディカルスクール後期の病院実習に戻ると、奨学生の月給は若干アップになったというし、貯金があるので高い本なども買えないわけではない。しかも病院実習であまりにも忙しくて、本などを買うような時間もない生活になると考えられる。
翻訳の方も、一通りいろいろなテーマをカバーし尽くして、ちょうど飽きてきたところだ。来年あたりからはまた、月極めの連載を持ちたいとも思っている。それに何より、今年は金よりも、1年で仕事を論文にまとめるという大課題がある。
人生の転機。わくわくするものでもあり、ちょっと寂しいものでもある。
医学日本語の勉強にもなったし、挨拶で本郷の出版社を訪れたりワシントンに出張してきた編集者から接待を受けたりと、象牙の塔の外の社会勉強にもなった。何よりも、たとえ今のままの自分でも十分、食いはぐれることはないのだ、という、自信にもつながった。実験屋というのは貴族の遊びだから、そういう精神的な安定感も意外と重要ではないかと思う。
釣りの格言で、「日の出や夕暮れの転機に、一番大きな魚が釣れるのだ」、友人はそういう。それはともかくとしても、変なところに安住して腐ってしまうのは、いやだ。
1 件のコメント:
Gawky さんは偉いな。二匹のウサギってこのことだったのでしょうか。働きながらはなかなか大変なものです。
また、今回、一時的にしろ、その仕事を断ったのも偉いと思う。むしろ、こちらのほうはできない人が多い。
一時、不良的にギャンブルで稼いだことがあります。でも、その後の勉強になりました。ギャンブルは逃げ腰でやっていると少しずつ負けが込むだけで一生勝てません。勝負をかけるときは勝負に出なければなりません。しかし、無理なときは、大きな痛手を避けるために、細かな欲を一切捨て去る覚悟が必要でした。
(今は、小金があったらあの株を少し買うかくらいが賭けで、一切ギャンブルはやっておりません。それにしても5年前に手堅くTMを買ったのは儲かったな。5年で2.4倍ですよ。資本主義万歳!おおっと、Gawky さんも読者も真似しないでね。これも結構大変だから。)
ともかく研究です。頑張ってください。MWW
コメントを投稿