[新聞] War Heroes
Soldiers Face Neglect, Frustration At Army's Top Medical Facility
By Dana Priest and Anne Hull
Washington Post, Sunday, February 18, 2007; Page A01
米国政治はここ数週間、この一本のreportageに振り回されている。イラク(やアフガニスタン)で腕や脚や頭蓋骨を吹き飛ばされた負傷兵の治療がひどい、という話しである。正確にいうと、最初の手術まではよいらしい。だが、その後のリハビリのさいには油虫や鼠の巣くう、倉庫としてもひどいような寮に住まわされるという。そして術後朦朧としていたり、traumaにさいなまれていたり、脳みそが半分無くなっていても、恐ろしく煩瑣なsystemを縫って治療の予約事務や退役申請の事務などと格闘しなくてはならないという。
何故こんなに反響が大きいのか。
ひとつには、Bush政権の吹聴する嘘の数々が、どんなに脳天気な馬鹿にも分かる形で露見した、ということがある。<Bush政権の国粋主義的なpropaganda>、また、<Bushがもともと実業界出身だからmanagementがしっかりしているという売り込み>、これらは前部嘘だったのだ。
しかし、より深い次元では、戦争に対して全く無頓着な国民の多く(liberal教養階層たちも含む)が、そのcompensationとして義憤に燃えている、という部分がある。彼らにとって戦争とは、どこかテレビゲームのようなものであり、「義憤」ボタンを押せばことは済むと思っているのだろう。戦争はそもそも人が駒のように使い捨てにされるものだ、という意識が全く欠けている。ぼくとて幸い、戦争を経験したことはないが、そこまで脳天気ではないと思いたい。
特に最近耳障りなのは、「hero」ということばを「退役軍人」の同義語のように使う語法。そんな安売りしていいのだろうか、「英雄」ということばを。
そもそも真の「war hero」にしたって、「hero」のうちのごく特殊かつminorなるgenreにすぎない。残虐行為と切り離せない戦争の本質的な穢さのなかから、辛うじて悲壮感を漂わせながら生じるのが、戦争における英雄的行為ではないか……… それともwar heroは真に、Beethoven三番の一楽章ようにスカッとした誇大妄想的なものたるべきなのか。
参考リンク
Don’t Ask, Don’t Know, Don’t Help (NY Times, THOMAS L. FRIEDMAN, March 7, 2007)
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