2007/02/09

[本・一般]●●●●● 日本語のために

Cover picture日本語のために
丸谷才一

日本語の21世紀のために
丸谷才一・山崎正和

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帰国子女として日本語コンプレックスがある都合上、「日本語のために」とか「文章読本」とかに類する題には、元来弱い。それもあるだろうし、旧仮名遣いで書いていることもあるのだろうけれども、高校のときか、新聞記者であった祖父の納戸から一冊目の「日本語のために」という本を発見して読んだときには、高校生のミーハーも加わり、まずはとにかく恰好いい日本語に打たれた。読み慣れない旧仮名遣いであっても、文章の流れがとてもいい。

やはり思考の基礎は言語。ぼく自身の思考の礎は、日本語なのか英語なのか判然とせず、日本語も英語も、native speakerのようでいてそうではないだけに、妙な執着がある。そういう中途半端な立場での対応は、大きく二手に分かれる気がする。諦めて言葉のテキトーさを受けいれ、唯々諾々と流行語・流行語法を導入する人と、ぼくのように言語的保守主義に傾く人と。このこともあるが、漢語を平仮名で書くことや、無闇に片仮名語を用いることの思考に対する弊害、などとというものには比較的敏感であると思う。だが、ぼく自身はあまり自信はないため、丸谷氏の高見をありがたく頂戴するばかりである。

二冊目の方は、現代日本語の言語としての成立や特質についていろいろと考えさせられた。対談形式で、さらりと読めてしまった。

最近陳腐な日本語論がはびこっているようだが、「この二冊はどちらも、日本語を愛する人に薦められるのではないか」と、このsemi-non-native speakerは考える。

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