[本・小説]●●●●○ When We Were Orphans
When We Were Orphans
Kazuo Ishiguro
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邦訳
わたしたちが孤児だったころ
カズオ イシグロ
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今日もまた、夏読んだ本である。昨日の「Never Let Me Go」もそうであったが、不思議な空気の流れる本であった。上海に短期留学していた妹を訪れたのをきっかけに、これも母に薦められた。
主人公のイギリス人は20世紀初頭のアヘン貿易盛んな上海の外人居留地で育った。隣家の親友である日本人のアキラとともに、居留地のrarefiedな空気の中でのびのびと育った。が、両親がある日突然失踪し、少年は急遽国許に送り返される。アキラとも、別れを告げるまもなく引き離される……… その少年はやがて、ロンドン中に名を馳せる名探偵になる。そしてある日思い立ち、戦火の及びつつある1930年代の上海に戻って両親の足跡を追う。
Kazuo Ishiguroは5歳の時に、長崎からイギリスに移住したという。私も10歳の時にBostonから神奈川に移住して、Ishiguroのethosは、源点で共有できる気がする。外国で育つことによるidentityの不安定感という潜流と、それを糊塗するように築かれる仮構である安定感。そして、どこかで、失われたときをもとめて流浪する魂。こういったテーマを、本書に感じた。
月月火水木金金、毎日嬉々として実験室に通い、いやな思いをしてまでもacademiaに残ろうとする自分。その根源的なdriveは、もしかしたら、本書の主人公が戦火の上海をさまよう理由と同じかもしれない。失われたBoston、そして実験をする両親の背中を求めて。
1 件のコメント:
Never Let Me Goについてのインタビューですが、最後の方はこの記事とも関連する気がします。
http://www.globe-walkers.com/ohno/interview/kazuoishiguro.html
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